iPad Pro + Apple Pencilをレンタルして使ってみたら思いのほか良かった話

iPad Pro + Apple Pencilをレンタルして使ってみたら思いのほか良かったので、レビュー記事を描きます。

ちなみに私、趣味で同人活動してまして少々絵も描きます。最初に板タブで絵を描き始めてその後液タブに移行し、いろいろ思うところあり今年の頭くらいから紙と鉛筆で描いてます。そういう、回りくどいデジタル/アナログのハイブリッド絵描き視点でのレビューですので、その辺考慮に入れたうえで参考にしてください。

 

あと、最初に断っておきますが、実はこれレンタル元のビデオエイペックスさんの紹介キャンペーンの一環ということで書いてます。つまるところダイマです。

でも、思い切って買うにはちょっと躊躇する額の機器を、自分に合うかどうか試すには、レンタルは非常に良い方法だと思います。店頭でビクビクしながら使い慣れてないツールでお絵描きしても良いかどうかなんてわかんないですよ……(実体験)。

WacomのCintiqなんかはおためしサービスってことで公式がレンタルやってますが、そういう方法が無いものはおうちで使えるレンタルオススメです。そんなわけで、個人的にも納得感があるのでこれ書いてます。

では前置きが長くなってしまいましたが、以下本題です。

まず、iPad Pro + Apple Pencilは(描画ツールとして)使い物になるのか?

これは個人の感想ですが、充分なると思いました。証拠品として提出しますが、これ正味4時間で描きました。

使用アプリはProcreateというやつです。有料アプリですが、よくネットでレビュー記事を見かける定番アプリのメディバンペイントと比べても使いやすかったです。というか、こっちの方がしっくり来ました。

Procreate

Procreate

  • Savage Interactive Pty Ltd
  • エンターテインメント
  • ¥720

この辺はレンタルして実際使ってみて感触を試してみるのが一番だと思いますが(巧妙なダイマ)、筆者が感じたことを参考までに書いておきます。

紙と鉛筆感はどうなのか?

Apple Pencilのレビューを見ると「本物の鉛筆みたい」という感想をよく目にしますが、これは本当だと思いました。

まず太さと重さのバランスが非常によく取れています。重心バランスも秀逸。6角形ではなく丸くて、ちょっと太め、木+木炭の鉛筆よりもちょっと重い、という感でちょうどダーマトグラフに似ています。というか、昔使ったことのあるこれと持った感じ全く一緒でした。

ダーマトグラフ | DERMATOGRAPH | 色鉛筆 | 鉛筆・色鉛筆 | 商品情報 | 三菱鉛筆株式会社

ペン先のひっかかり感は非常に良くチューニングされていて、描いた瞬間「あっ、これ鉛筆だわ」と錯覚するほどでした。こういう、UXに全力を注いでくるあたり、Appleですねぇ……。

ただ、遅延なく描けるか、鉛筆のような表現が可能か、といったことになると、これは使用アプリによってかなり違います。

あくまで私見ですがメディバンのペンの感触はあまり良くありませんでした。普段使っているCintiq21+クリスタと比べるとイメージ通りに描けない……鉛筆ツールが鉛筆っぽくない……。さすがに無料アプリに多くを求めるのは酷な気もしますが、ストレスを感じてしまい早々にあきらめました。

Procreateのペンはチューニング無しで普通に(ここ重要)使えました。特に鉛筆系ツールが優秀で普段使ってる鉛筆とシャーペン通りの線が引けます。ざくざくーっと同じ鉛筆ツールだけで下書き描けました。

線の強弱や太さなどは左手で操作できるスライダーとペンのタッチだけで表現してます。「下書き~主線までは紙と鉛筆、ペンでやりたいよねぇ~、でも取り込み処理とかめんどくさいし、Undoとかカット&ペースト使いたいよなぁ」というハイブリッド絵描きのめんどくさい要求に完全に応えてくれる感じです。良いです。

ちなみにどんな感じで描いてるかは、動画とPSDファイルをそれぞれ上げておいたので、興味があれば見てみてください。

vimeo.com

www.dropbox.com

※補足:上で「ちょっと重い」と描きましたが、それは鉛筆と比較してのことで、1~2時間連続で描き続けても手は疲れませんでした。たぶん普段液タブ使ってる人なら「同じくらいの疲労感」と言えばわかると思いますがそのくらいです。

iPad Pro + Apple Pencilをオススメできる人、できない人

上で持ち上げておいていきなり落とすようでなんですが、すべての絵描きにオススメできるかというと、それは人を選ぶかなという感じです。

まずメモリが少ないので100枚も200枚もレイヤーをもりもり使って描くようなタイプの人(いわゆるエロゲ塗り)には向かないと思います。また、いろいろなツールを切り替えて作画したりレイヤー効果をバリバリ使う漫画製作にも向かないと思います。メディバンペイントはそういった機能が豊富なのでうまく使えばいけるのかもしれませんが、iPadである程度描いてから、仕上げや写植はPCでやるのが操作性の観点からも良いと思います。線画までは十分行けると思うんですけどね。それ以上となるとつらい感じです。

逆にオススメできるのは厚塗り系のイラストを描く人や、ラクガキを気楽に描きたい人、アナログからデジタルに移行したい人、です。

メモリが少ないと言っても4GBあるわけですし、数十枚くらいなら余裕でレイヤー分けできますからガシガシ塗り込んでいく描き方をする人、もしくはエフェクトをあまり使わないあっさり系の絵を描く人には必要十分だと思います。筆者のような画風なら守備範囲内です。また、iPadなのでスイッチ一発で即起動、アプリも瞬間的に立ち上がるので「描きたい」と思ったときにすぐ描けますから、ラクガキ用途にはぴったりです。紙と鉛筆なら起動時間ゼロですが、色を塗るところまでやるとなるとiPadに軍配があがります。場所も選ばないので好きな場所で描けますしね。あとは、板タブや液タブに比べてほとんどアナログに近い感触なので、今までアナログで描いてきた人には馴染みやすいと思います。一歩目の「使いやすさ」というのは大事です。

※補足:ちなみにProcreateの場合B5 350dpiの原稿で50枚ほどならレイヤー作成できるみたいです。ソースは新規作成画面のシステムメッセージ。

ただ、原稿の再現性という観点ではiPad Proは非常に優秀で、これだけはすべての絵描きに恩恵があると思っています。

今回レンタルしたのは12.9インチのタイプなのですが、これがちょうどB5サイズを原寸表示(+数ミリ余白)できるので(特に同人誌の)仕上がりイメージがつかみやすいです。また、Retinaディスプレイで非常に解像度が高いので、細い線のニュアンスがよくわかります。液タブで原寸表示したときにはわからない、ちょっと拡大して確認しなければならないような線の重なり具合とかも、iPadなら目を近づけるだけでわかります。むしろ、Wacomの液タブはこのくらい高精細な液晶を早く搭載してほしいですね。あんなに高いのに液晶の品質が悪いのは納得がいきませんよ……(実体験)。

PCからの移植アプリとタブレットネイティブアプリの設計思想の違い

ちょっと余談になってしまうんですが、メディバンペイントとProcreateをそれぞれ触った結果、UIの違いを強く感じたのが興味深かったのでそのことを書きます。

まずメディバンは、見た目からして「あくまでPCのUIをiPadに持ち込みました」という風体なんですね。どうしてもKBのショートカットキーを押したくなってしまう作りになっています。SAIやクリスタやPhotoshopのような、左ペインにツール類が、右ペインにレイヤーウィンドウが表示されている、いつもの見慣れたあの画面と、操作系。悪くは無いんですが、大画面とはいえタブレットで小さいアイコンをちまちま指とペンで操作するのはせせこましいです。KBか左手デバイス使わせてくれよ、という気持ちになってしまいました。

そこへいくとProcreateは最初からタップ+スワイプ操作を前提とした操作系になっています。指2本タップでUndo、レイヤーウィンドウ上で指2本スワイプでレイヤー透明度の保護、ペンの大きさ変更も左手付近に配置されているスライダーでちょいちょいと指で操作しながら描く仕組みになっています。しょっちゅう画面を指先で触りながら描く、という感じです。最初は戸惑うかもしれませんが、慣れてくると速いです。「あっ、これなら左手デバイスもKBも要らんわ」と思えるほど描くことに集中できました。

※補足:筆者が普段PCで使っている左手デバイスはPS3のナビゲーションコントローラーなんですが、特にUndo、Redo、拡大縮小、回転、移動、ペンの太さ変更、ペン↔消しゴムの変更、に主要ボタンを割り当てています。というか、この7つしかほぼ使っていない感じです。そしてProcreateはこのうち6つまでがタッチ操作のみで可能なわけです。

この中でわかったのは、PCソフトウェアのような「すべての機能を網羅できるようなUIとショートカット利用を前提とした操作系」と、タブレットネイティブの「情報表示は必要最小限にとどめたUIとタッチを前提とした操作系」は根本から考え方が違うものなのだな、ということでした。どちらが良いとも言い切れませんが、少なくともiPadに適しているのは後者の方だと思いました。iPadはお膝の上でKB無しで操作するタブレット端末ですから。

ちなみに、Cintiq CompanionやSurface Proのような「PCの延長線上にあるタブレット端末」では、どちらのタイプのアプリを採用すべきなのか、これは使ってみないとわかりませんが、悩ましいところだと思います。Cintiq CompanionはPhotoshopやクリスタを動かすこと「しか」考えられていませんし、Surface Proはカバー一体型KBを装着することが前提になっています。ようは想定されている作業スタイルによる、ということになってしまうんでしょうかね。

※補足:描くのに集中できたのは、iPadが同時に1アプリしか使えないからかもしれません。Twitterとかネット見たり、といったことに気が散ることが少なかったです。

iPad Pro単体の感想

とにかくデカい。これに尽きます。圧倒的にきれいなRetinaディスプレイで迫力のある大画面。普段見てるTwitterの投稿画像も10倍くらいキレイに見えます。

ただ、今回はレンタルした目的が「iPad Proでお絵描きできるのか?」であり、ほとんどイラスト製作とTwitterくらいでしか使っていなかったので、動画見たりだとかゲームをしたりだとかいった「一般的な」ことをしていません。ですので、そういった用途で実際どうなのか、はほかのレビュー記事を読まれるか、実際にレンタルして体験してみるのが良いと思います(またも巧妙なダイマ)。

Smart Keyboardについて

実はSmart Keyboardも一緒にレンタルしたりしていました。「どうせレンタルで触り倒すんだからKBも盛ってしまえ!」というノリと勢いで。ただ結論から言うと、まあこれは要らないかな、という印象です。

他のレビュー記事でも書かれていますが、表面がファブリックで覆われており、独特の肌触りです。紙っぽくはないのですがサラサラしていて手汗吸いそうだなぁと思いました。

打鍵感はApple Keyboardのようなパチパチした感じですがストロークは短め。反発は中にバネが入っているのか割と良かったです。少なくともファブリックの復元力で戻るような仕組みではありませんでした。ロール型KBみたいな感じを想像してたんですがそこまでチャチなものはAppleは出してこないですね。ですが他のKBと比べると……そこはやっぱり我慢することになる部分があると思います。HHKB-BT持ってる筆者からするとストレスを感じました。

あと、せっかくのカバー一体型KBなのでどこでも使いたくなるのですが、例えばOAチェアや座椅子をリクライニングした状態で、膝の上に乗せてタイプするのは困難でした。これ、構造上角度を変えるのが難しいんですね。だからSmart Keyboardを使おうとすると必然的に机に置いた状態で使うことになります。ちょっと本腰入れて原稿書いたりするのには良いのかもしれませんが、それくらいならお気に入りのBluetooth KBを使った方が幸せになれる気がします。

かように、Smart Keyboardは使う局面が限られてくるガジェットだなぁ、というのが筆者の感想です。

レンタル試用時のTwitterを振り返る

だいたい上で書いたようなことを言っていますが、ライブ感を楽しみたい人はこちらもどうぞ。

togetter.com

最後に宣伝

最後に、レンタルさせていただいたビデオエイペックスさんの宣伝でしめたいと思います。

iPad Proのレンタルをやっている業者さんはだいたい3~4社くらいあるみたいなのですが、個人にもレンタルOKで1日単位での指定ができるのはビデオエイペックスさんだけでした。というわけで「自分もレンタルしてみようかな」と思った方、選択肢が他にないので悩まなくてあんしんです。

パソコンレンタル館
Windows・MacのパソコンからiPadやイー・モバイルまでレンタル可

Windows・Macなど パソコンレンタル館

ちなみに、レンタル自体は普通のWEB申し込みで特にひっかかることは無かったのですが、まず会員になるために身分証の写真を送ったり、保証金(後で返却される)を請求されたりするので心構えはしておいた方がいいです。まあこの辺は信頼関係なので、高額商品を個人に貸し出すにあたっては一般的な対応だと思いました(社会人ならこの辺の感覚、わかるよね)。

筆者は2泊3日で本体とPencilを申し込んだので、7,140円+1,120円に、あと1割の補償金がかかりました。追加料金は発生しますが、1日ずつの延長で最大1か月は延ばせるみたいなので、普通の人だったら十分な期間借りられると思います。ちなみに価格表は下記リンク先。

iPad Pro Wi-Fiモデルのレンタルサービス【パソコンレンタル館】

Apple Pencilレンタルサービス|iPad Pro専用の入力デバイス【パソコンレンタル館】

対応も早くてありがたかったです。確か申し込みしたのが水曜のAM中で、すぐ電話で在庫確保の連絡があり、PMに発送していただいて木曜PMには到着していました。また実際は金曜~日曜の2泊3日で契約していたので、木曜日分おまけしてもらった格好になり、都合3泊4日使わせていただけたのですごくお得感がありました。

いつもこの方式なのかは確認してみないとわかりませんが、スピード発送かつ開始日に届かなくてイライラすることも無かったので良かったと思います。

返送するときは、届いたときに入っていたプラ段ボールの箱にそのまま詰めて、これまた同梱されていたクロネコヤマトの配達伝票を使ってコンビニで発送するだけだったので、手間がかかりませんでした。この辺はレンタル業を本業とされてる企業さんならではなんですかね、よくできてるなぁと感じました。

 

……とまぁ、最後にいかにももっともらしくとってつけたような感じになってしまいましたが、10万円ポンと払ってしまって後で後悔するよりも、1万円弱で本当に使えるのかどうか、しっかり確かめてから買った方が賢い選択なんじゃないでしょうか。少なくとも筆者はそう思っています。

でももうレンタルして良さがわかってしまった今、「アイパッヨ欲しい欲しい病」にかかってしまった私からは「レンタルでも即購入でもいいからとにかくiPad Pro + Apple Pencil使ってみろ!」と言いたいです。実際良いデバイスですよこれは。

オススメです。(終わり)